これに対して新サービスは、個人情報を削除した上で、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像法)などの画像データを圧縮。インターネット上で共有することによって、「みんなで簡単に相談しあうことができる」(菅原社長)サービスを売り物とする。
具体的には画像を指定しながら議論を進行。画像にはコメントなどを残すことができ、どんな質問が寄せられたのかを、他の先生につなげ、症例についてWeb上で活発なディスカッションを展開できるようにする。文字が記録として残るので、一定時間が経過した後でも、その議論を追うことも可能だ。
◆世界から注目
初めて一般に公開した13年10月の会議には、1500人が参加登録。eメールを通じ「こういった問題があるので、このような形で治療します」「ここがポイントです」といった情報を流し、事前に学習して当日に臨めるようにしていた。
結果として、850人の参加者が実際にアクセスして本番に臨んでいた。訪問回数は延べ1600回。1回当たりの平均滞在時間は8分といったように、高い実績を残した。日本の場合、とくに循環器分野の医師の考え方や技術力は世界でもトップレベル。その意味で、世界からも注目されるサービスだといえる。
今後の成長戦略は、この新サービスを核にして進めていく。例えば医師からは「出張中でも普段通りに取り扱えるようにしたい」、医療機器メーカーのマーケティングも担当者は「自社の教育ツールとして使いたい」といった声が相次いで届いており、こうした動きに的確に対応していくのが課題だ。
また、内視鏡の取り扱いの習熟度や脳血管の手術の腕を高める上でも、イーケースブックのサービスは有効。「画像診断を伴う分野で存在価値を高めていきたい」と菅原社長は意欲を示している。(伊藤俊祐)
◇