氷や雪の付着を防ぐために採用されたのは、ガラス繊維を混ぜたゴムと低温でも柔軟性を失わない耐寒性ゴムをストライプ状に貼り合わせたソール。柔軟性の高いゴムが歩くたびに伸び縮みすることで、貼り付きそうになった雪をハラリと落としてくれる。「スペラン」と名付けられたこのソールの靴は85年に発売された。その後も、さまざまな路面の状況に最適な防滑性能を持つソールのために、溝の意匠を改良したりもみ殻など天然系の防滑素材を加えたりしながら、「スペラン」シリーズは進化を遂げてきた。
◆防水性、通気性も向上
2011年に発売された「3Dスペラン」は、路面の凹凸に柔軟に対応することで、より高い防滑性が発揮できるソールだ。従来のものより薄くした「スペラン」層をゴムスポンジと積層して、ウレタン製のミッドソールに取り付けられている。ゴムスポンジ層はソールにとって大切な衝撃吸収性を有すると共に、路面の形状に応じて柔軟に変形することで接地面積を増やし、より高い防滑性が得られる。
昨年秋に発売された最新モデルは、ガラス繊維と高い強度を持つバイオマス素材である竹繊維を配合した「3Dスペラン」を採用。さらに、ソールに溝を作ることで、ソールの可動域を増やすとともにぬれた路面の水膜除去機能も向上させた。
防滑性能だけでなく、接地面から4センチの静水に8時間耐える防水性や、アッパーに通気性の高い素材を採用してムレ感を抑えるなど、凍結した路面から雪路面、溶けた状態の氷路面まで、幅広い環境で快適な履き心地を実現する配慮もされている。