国立保健医療科学院の牛山明・上席主任研究官(理学博士)が昨年12月に大阪市内で行った講演によると、日本人が神経膠腫にかかる割合は10万人当たり約3人と推計されるという。職業や外傷、食事などとは因果関係は確認できず、発生原因は不明だ。
IARCが証拠にした40%のリスク上昇が正しかったとしても、神経膠腫にかかる割合は通常の1・4倍に相当する10万人当たり約4・2人。つまり、10万分の1程度だけ罹患率が上昇する計算になる。
牛山氏は「携帯電話の利便性とリスクの兼ね合い、他のリスクとの比較の議論になる」と指摘。その上で「どんなリスクがどの程度あって、どう対応するかについて、いろんな人と情報を共有することが重要だ」と説く。
電波は目に見えず、リスクが小さいほど評価は難しくなる。総務省によると、WHOは年内にもケータイの電波による健康への影響に関する研究に対し、公式なリスク評価を打ち出すとみられる。
ただ、どのような結果が公表されようと、過度に恐れることはなさそうだ。要するに、利便性とリスクの兼ね合い、それとリスクの性質を正しく理解することが求められるのだ。