--今後の電力事業の拡大は
「3月から、兵庫県姫路市の製油所跡地を活用した1万キロワット級の太陽光発電が運転を開始する。高知県でも木質バイオマス燃料発電事業へ投資しているが、再生可能エネルギーはコストの課題がある。当社のメーンは、大分県で20年近く九州電力と共同運営する地熱発電の滝上発電所だ。出力、収益の両面で安定している。火山列島という日本の特性を活用するため、北海道、秋田県では地熱発電のための試掘調査を行っている。息の長いプロジェクトだが、日本の将来に必ず役立つものだと確信している」
--東燃ゼネラル石油が三井石油を買収するなど業界再編の動きが止まらない
「創業者・出光佐三は『自分に薄く、人のために尽くすことが、民主主義の本質』という言葉を残した。こうした企業理念が軸となっている企業であることは変わりはない。大切なのは、どういうことで社会に貢献できるか。効率的になるのであれば、他社とのアライアンスは積極的に行いたいが、単に資本の論理で株価が上がるという理由で他社とくっついて、出光の能力が発揮できるかどうかは疑問だ」(宇野貴文)
◇
【プロフィル】月岡隆
つきおか・たかし 慶大法卒。1975年出光興産入社。執行役員、常務執行役員、取締役、常務取締役などを経て、2012年副社長。13年6月から社長。東京都出身。