サントリーホールディングス(HD)が総額約1兆7千億円を投じ、米酒造大手ビーム社の買収を決めた。食品業界は近年、海外を舞台としたM&A(企業の合併・買収)の動きが加速している。少子高齢化を背景に国内市場の先細りが避けられない中、新興国をはじめとする海外市場に活路を求めているためだ。世界市場全体では巨大企業による寡占化の流れも顕在化しており、生き残りをかけた“陣取り合戦”が激しさを増している。
「これまで数千億円の買収案件はあったが、一段ギアを上げてきた」
野村証券の藤原悟史アナリストは、サントリーHDによる今回の買収劇を、業界全体の海外シフトに向けた一里塚だととらえる。
農林水産省によると食品の国内市場は、平成21年時点の58兆円から32年には67兆円と約1・2倍に拡大する見込み。だが、少子高齢化による人口減少で、先細りする懸念は残る。
一方、同期間の海外市場は、340兆円から680兆円と倍増する見通しで、特にアジアの成長率は約3倍と試算される。