こうした状況下で、食品各社は海外でのM&Aを活発化する。アサヒグループHDは2011年に、ニュージーランド(NZ)の酒類大手インディペンデント・リカー・グループを約976億円で買収した。飲料以外でも、日清製粉グループが昨年2月に豪州の食品大手グッドマン・フィールダーのNZ事業を約33億円で、味の素も先月、トルコの調味料メーカー、キュクレを約29億円で買収した。
企業がM&Aを積極化する背景には「海外市場の寡占化も無視できない」(民間調査会社)とされる。市場の縮小は先進国共通の課題で、各国の有力メーカーが新天地を求め、海外事業比率を高めている。スイスのネスレなど、収益の過半が海外事業という企業も少なくない。アジアをはじめとする成長市場は草刈り場の様相を呈している。昨年は景況感の改善で業績を伸ばした企業も少なくないほか、日銀の金融緩和により金融機関から低利融資を受けやすい環境も整っている。今後も積極的な海外投資が広がる可能性がある。