ビームの2012年の売上高は24億6000万ドル(酒税抜き)。
サントリーHDが米ビームを買収する背景には、海外戦略にはブランド力が不可欠という業界事情がある。
「世界でも類を見ない強力なポートフォリオ(組み合わせ)を持つスピリッツ(蒸留酒)事業が誕生する」。今回の買収でサントリーHDの佐治信忠社長が寄せたコメントには、今後の海外展開への手応えがにじむ。
消費者が実際に口にする食品や飲料は、愛着や安心感を生み出すブランドの力が、市場攻略の決め手となるケースが多い。別の大手飲料の幹部も、「攻略する国に、強いブランドがあれば、それを買収するしかない」と打ち明ける。
サントリーも09年に仏清涼飲料大手・オランジーナ・シュウェップスを約3000億円で、昨年も英製薬大手グラクソ・スミスクラインの飲料事業を約2100億円で傘下に収めるなど、強いブランド買収が海外成長の原動力となった。今や海外売上高は3833億円(12年12月期)と全体の2割強に及ぶ。