セブン&アイ・ホールディングス会長・鈴木敏文さん【拡大】
■低価格競争に陥らず新しい価値訴求
--消費環境をどうみる
「明るさが出てきたことは事実だ。しかし、あらゆる物が売れているかというとそうではないので、消費全体が底上げされたとはいえない。デフレも完全に脱却したわけではない。今年4月には消費税が増税され一時的に消費が落ち込むが、低価格競争に陥ってはいけない」
--消費税増税の影響は
「消費税が3%上がっても、これまで購入していた商品を買えなくなるケースはそう多くはないだろう。懸念するのは増税による心理的な影響だ。より価格の低い商品を求める客層と、割高でも質の高い商品を求める客層の二重構造になるのではないか」
--増税後の商品戦略は
「物質的に充足した消費者は新しい商品を求めるようになっており、昨年と同じ商品を提案しても売れない。プライベートブランド(PB、自主企画)商品の食パンは割高だが、味にこだわる消費者に選ばれた。メーカー品も新しい切り口の商品は取り入れるが、従来と変わらなければPBで新しい価値を訴求していく」
--カタログ通販大手のニッセンホールディングスなど企業買収や提携が相次いだ
「(インターネットと実店舗を融合する)オムニチャネル化を進める過程で、ネット通販のシステムを持っているニッセンと一緒に取り組んだ方がよいと判断した。ネット通販が発展すれば実店舗で買い物をする客が減ると考えられていたが、実際に商品を確認したいと考える消費者の気持ちは変わらず、実店舗を持つ強みを生かすことができる。オムニチャネルを進めるために適当なパートナーがいれば、今後も手を組む考えだ」