通期業績予想と配当予想の修正について会見する任天堂の岩田聡社長(右)=17日午後、大阪市中央区【拡大】
■注目は30日の戦略発表会
まるで1年前の会見の再現である。2013年1月31日に東京都内で開かれた任天堂の経営方針発表会。岩田聡社長は「年末商戦で結果を残せず、業績の下方修正を報告せざるを得なくなりました」と述べ、黒字予想だった13年3月期の連結営業損益が赤字に転落すると説明した。
あれから1年-。今月17日、岩田社長は同じような言葉を繰り返し、14年3月期業績の下方修正を発表した。この席上、真っ先に問われたのが「公約」についての経営責任である。
1年前の発表会で岩田社長は「14年3月期に営業利益1000億円を達成する。これはコミットメント(公約)だ」と明言。達成できなかった場合の責任について「コミットメントという言葉を使ったことで理解いただきたい」と辞任を示唆していた。
◆背信の辞任否定
だが、17日の会見で岩田社長は「(公約は)目標達成に向け最善の努力をしたいとの意味だった」と辞任を否定した。「1年前、退路を断ち、再建に取り組む姿勢を宣言したはずなのに再び同じような言葉を述べて頭を下げる。これでは市場の信頼を得られない」。ある関係者はこう指摘した上で「山内(溥(ひろし)前社長)さんなら今、どう動いていただろうか…」とつぶやく。
家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」の発売以来、約30年にわたってゲーム業界を牽引(けんいん)してきた任天堂。ただソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の据え置き型ゲーム機「プレイステーション」に逆転を許し、02年ごろは苦戦を強いられた。
この当時、山内前社長が打ち出したのは、42歳だった岩田氏(当時は取締役)の社長抜擢(ばってき)など思い切った経営陣の若返りだった。山内前社長は、岩田社長を「ゲーム開発と経営の双方の能力を持つ人材」と評し、社内の反発には「期待を絶対裏切らない」と譲らなかった。