企業側の慎重な姿勢の背景には、固定費の恒常的な負担増を伴うベアが、国際競争力を損なうリスクを警戒していることがある。
グローバルに事業を展開している企業の多くは、新興国市場での事業拡大を成長の原動力に位置づけているが、企業関係者は「トルコやアルゼンチンなどの新興国通貨の急落に伴う世界同時株安など、不安要素は絶えない」と話す。
一方、今回の議論で目立ったのは、賃金や待遇に関する格差の問題を労組側が強調していることだ。
自動車総連は、「全員で、月例賃金で、底上げに取り組む」というスローガンを掲げ、業種間や規模間の格差や、正規社員と非正規社員との格差の問題を取り上げている。
なかでも、正規と非正規の労働格差をめぐる問題は、業界を問わず深刻さを増している。総務省によると、平成25年の農林業を除く就業人口に占める非正規労働者は、過去最高の1850万人(36・2%)に達している。
政治のリーダーシップで大きな流れが決まった26年春闘。格差是正の問題で“解”を示せるかどうかも問われている。(小島清利)