ホンダは、このFIを除雪機に世界で初めて採用した。ただ、採用に至るまでの道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。常に過酷な環境条件で使用される除雪機への搭載は、エンジンの能力を最大限発揮できる一方、コストがかさむ上、システムの構築には複雑を極めるためだ。
ホンダは、業界首位の除雪機開発経験を生かして、過酷な環境下での多様な作業を地道に再現。どれだけの量のガソリンを噴射させれば最も効率的になるかを妥協することなく数値化し克服した。
酒井主任研究員はFI採用について、「これまでは寒い中、エンジンが暖まるのを待ってもらっていた。しかし除雪機は、エンジン始動後すぐに全開作業をしたいという顧客の要望があった」と話す。
加えて「使用頻度が限られるため、金額にシビア」(宇山由香・同センターチーフ)。このためバイク『カブ』、四輪車のスポーツ用多目的車(SUV)『CR-V』の部品を採用。除雪機専用の部品を極力抑えることができたため「価格を5万円アップにとどめ、150万1500円からにした」(小東賢太・同センター研究員)。