プロ野球開幕戦のセレモニーに出席した(左手前から)金田正一氏、松井秀喜氏、長嶋茂雄終身名誉監督ら=3月28日、東京ドーム【拡大】
プロ野球が開幕した。1934年12月26日に創設された大日本東京野球倶楽部が巨人の前身である。今年はちょうど80年になる。草創期のメンバーに沢村栄治さんの名もある。同年に日本を訪れたベーブ・ルースを擁する全米選抜軍を相手に、8回1安打9奪三振の快投を演じた伝説の投手。あの戦争で逝った。27歳の短い命だったが、人々の記憶には永遠に残っている。
◆過去への尊敬忘れず
東京ドームでは伝統の巨人、阪神戦が開催された。80年セレモニーとして披露された沢村さんらの貴重な映像があった。満員札止めで詰めかけたファンも胸を熱くしただろう。さらに400勝投手の金田正一さん、国民的ヒーローの長嶋茂雄さん、米国からは松井秀喜さんも駆けつけるなど歴史を彩った巨人OBら200人がグラウンドを埋めた。いまある繁栄は、過去の人々の礎から成り立っている。その思いを、未来へつなげるためにも過去へのリスペクトを忘れてはならないだろう。
私事であるが…。長嶋さんに会いたい、そんな思いでこの業界に入った。あのシーンは忘れない。75年5月、黄金週間を終えた後の巨人軍多摩川グラウンド。入社1年目、初めて巨人を取材した日。39歳、長嶋“青年”監督の1年目だった。
憧れのスーパースター、長嶋さんを目の前にして、すごく緊張したことを覚えている。
「あの、私…」と名刺を差し出し、無我夢中で質問をした気がする。わずか数行のコメントだったが、記事にした。しかし本当の衝撃波は1週間後。同じように直撃取材をすると…。