プロ野球開幕戦のセレモニーに出席した(左手前から)金田正一氏、松井秀喜氏、長嶋茂雄終身名誉監督ら=3月28日、東京ドーム【拡大】
V9時代のエース・堀内恒夫さん(現参議院議員)は「俺らの時代には投手の分業制などなかった。先発完投して翌日に抑え…。連投なんてザラにあったよ」と。ひたすら組織への滅私が美徳とされた背景があった。怪物と呼ばれた江川卓さん(評論家)ら昭和30年代生まれは、組織より個を尊んだ。「体の痛みを隠して投げるなんて、かえってチームに迷惑をかける。痛いときはちゃんと申告した」と江川さん。“ミー世代”などと呼ばれた。いつも野球人気質と世相がリンクしていた。
さらに…。95年に野茂英雄さんがメジャー挑戦したことで野球界に新たな夢が生まれた。いま、ダルビッシュ、田中将大が本場で大注目されている。以前長嶋さんがこう話していた。
「僕も若かりし頃、ドジャースのオマリー会長からアメリカでやらないか、と誘われたことがある。でもジャイアンツは“長嶋を出すと日本の野球は10年遅れる”と言って断ったそうです。僕もそう思いますね」
ミスターらと出会って40年余り。その時間が拙稿と球界とのつながり。魅せられている。(産経新聞特別記者 清水満)