◆ヤフーと協力も
社会人の経験がないまま、経営者としての責任を背負い込むことになったが、多くの“先輩経営者”を訪ねることでノウハウを吸収。「経営に詳しい人を巻き込んでいくしかない。不必要に不安に思う必要はない」と動じない。
4月下旬には、ヤフーが同社の協力を得て、遺伝子解析に基づく生活改善助言サービスを始める。データが増えるほど、解析精度が上がり、サービスの普及が進むと期待する。
苦しい財政事情もあり、予防医療には国も遅まきながら力を入れ始めている。「遺伝子解析を身近な存在にして、予防に役立てたい」という高橋さんの夢は、もはや夢ではなくなりつつある。(井田通人)
◇
≪Q&A≫
健康維持に役立つサービスを
--大学進学にあたり農学部を選んだ理由は
「農学部卒というと農業を学んだと思われるが、農学部で教えることの中には私が学んだ分子生物学も含まれている。医者の仕事は確かに素晴らしいが、治療だけに焦点を当てず、幅広く生命科学の研究ができそうな農学部を選んだ。起業したのは、生活習慣病の予防メカニズムを研究する課程で、研究成果は適切に応用されないと十分に報われないと思ったのがきっかけだ」