■REIT運用 着実な分配目指す
3月発表の公示地価(1月1日時点)で三大都市圏の平均が6年ぶりにプラスに転じた。地価を支えているのが不動産投資信託(REIT)の存在。その一つ「アドバンス・レジデンス投資法人」(ADR)も投資対象を都心の住宅中心に運用する代表的REITで、伊藤忠商事系のADインベストメント・マネジメントが運用している。ADRは合併による剰余金を武器に安定した分配金を出してきたが上場当初に掲げた資産運用の分配金目標を達成しつつあり、次の段階へ進もうとしている。
2008年秋のリーマン・ショックの後、国内の不動産価格は急落した。不動産投資ファンド事業を手掛けていた東証1部上場のパシフィック・ホールディングス(当時)が資金繰りに行き詰まって倒産。その傘下にあったREIT資産運用会社「パシフィックレジデンシャル」を、吸収合併したのがADインベストメントだ。
成績が悪化したREITは合併によって吸収されたが、ADインベストメントは、パシフィックのREIT「日本レジデンシャル投資法人」を吸収せず、自身が運用していた当時の「アドバンス・レジデンス投資法人」とともに、いったん消滅させた。その上で日本レジデンシャル投資法人の資産を低コストで購入、現行のREITであるADRを10年3月に新設する形で合併し、東証に上場した。
賃貸物件を扱うREITは、主に家賃収入を分配金に充てる。一方、ADRは合併時に、資産を安く購入できたため、時価の純資産額との差額を「負ののれん代」として、剰余金を計上できた。1月末時点で分配金支払い後の剰余金残高は337億円と他の合併REITに比べて群を抜いている。
高坂健司社長は「剰余金は不測の事態に対する抵抗力を持つ」とメリットを強調する。