企業は、仕入れ価格が上がっても製品の販売価格を維持してきたが、価格転嫁へのハードルは下がっている。小麦価格の上昇に耐えてきたある菓子パンメーカーで、「昨秋から要請してきた値上げが容量減の形で実現した」(日銀物価統計課)ケースもあった。
ただ、川上の原材料や中間財に比べると最終製品の価格上昇は緩やかだ。3月は原材料の2.3%上昇に対し、一般消費者の手元に届く「消費財」はプラス1.0%どまり。「決して弱い数字ではない」(ニッセイ基礎研究所の押久保直也研究員)が、増税後も上昇を維持することがデフレ脱却の大前提だ。
日銀は、消費者物価の2%上昇率目標について「確信を持っている」(黒田東彦(はるひこ)総裁)と強気の見通しを変えていない。今月30日に発表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、そうした見方を反映した物価上昇率の予測が盛り込まれる見通しだ。
ただ、日銀が2日発表した企業の物価見通しによると、企業は1年後に物価上昇率1.5%、3年後に1.7%を想定しており、日銀の目標より低い。企業も増税後の景気回復の持続に「確信」を持てない限り、コストを販売価格に転嫁できない「デフレ均衡」(黒田総裁)に逆戻りする懸念も残っている。