日本と、アメリカなどの西欧諸国では、株式を保有することの価値についてかなり違う文化があるようだ。私は、日本の起業家の文化を語ることはできないが、アメリカの起業家や、ゼンデスクのようにアメリカの投資家たちから資金を調達している企業では、どのような理由から持ち株比率が低いのか考えてみたい。
◆素早く基盤整備
アメリカでは、可能なうちに素早く資金を調達し、その資金を使って事業の周りに堀を築くのが、すべてのスタートアップがたどるべき実証済みの方法であると一般的に信じられている。ただ、この戦略だけがいつもうまくいくとは限らない。日替わりディールサイトのGroupon(グルーポン)のように、安定した基盤がないのに事業が急速に成長するというケースもたまにある。
ベンチャー投資家らは、数十億ドル規模になり得る事業にしか投資を検討しない。空き部屋の貸し借りプラットホームであるAirbnb(エアービーアンドビー)などをめぐって、大規模の投資ラウンドが展開されることからも分かるだろう。創業者にとってみれば、本当に数十億ドル規模の事業づくりを目指しているならば、その10%を保有する方が、低い評価額の会社の大部分を保有しているよりもずっと良いという考えになる。
この方法を選択したときのマイナス面は、持ち株比率の低さが自分の築いた会社のコントロールを失うことを意味するところである。事業経営がうまく行っている間は、先進的で独創的な製品開発を率いてきた「ビジョナリー」を追い出そうとは誰も思わないため、問題にならない。
しかし、せっかく創業して期待が高まったのに企業が思ったほど成長しないときや、成長してもその後に失敗が続けば、投資家らは容赦なく創業者らを追い出してしまう。多くのスタートアップで、実際にこうした創業者の排除がおこなわれてきた。