これに対し、一部のスタートアップでは、上場時に創業者が通常の株式の何倍もの議決権がある種類株を保有することで、低い持ち株比率にも関わらず一定の議決権を保ち、会社のコントロールを保持するという方法が取られることもあるようだが、グーグルやフェイスブックなど、まれなケースだ。
◆一族への敬意希薄
日本には、創業者とその一族に対してある種の尊敬があるように思われる。彼らが会社の何割を保有しているかに関わらず、ということだ。アメリカにはそんな考えはまったくない。2007年には、Yahoo!(ヤフー)の創業者、ジェリー・ヤン氏が事業の再生を図ろうと、CEOに就任したが、翌年には投資家らに経営責任を問われて辞任を余儀なくされた。
こうしたトレンドは、まだ日本では見られない。日本で上場しているテクノロジー企業のほとんどが、持ち株比率10%以下では大金が稼げない程度の評価額にとどまっていることも原因だろう。アメリカでは、企業の成長段階のそれぞれについて複数の投資家グループが存在し、企業の評価額をつり上げるのに貢献している。
一方で、スタートアップが投資ラウンドを経るたびに、創業者の会社保有率は下がっていく。日本にそれほど多くの投資家はいないから、一つの企業が経験する投資ラウンドの数もアメリカより少ないのが当たり前だ。これも、創業者の持ち株比率の高さにつながっているだろう。
ただ、日本でも徐々にスタートアップがアメリカのVCから資金を調達しようとする傾向が見え始めている。日本のテクノロジー系スタートアップがアメリカの事業成長哲学に順応してそれに倣えば、もしかすると、創業者の持ち株比率の低下がみられるようになるかもしれない。
(文:イジョビ・ヌウェア 訳:堀まどか)
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【プロフィル】Ejovi Nuwere
イジョビ・ヌウェア ニューヨーク生まれ。全米最大の無線LAN共有サービスFON創業者の一人。ビジネスウイーク誌により「25人のトップ起業家」に選出される。2008年に日本でオンラインマーケティングに特化したランドラッシュグループ株式会社を設立し、現最高経営責任者(CEO)。