【ビジネスアイコラム】サントリーが示す事業承継の意味 (1/2ページ)

2014.7.9 05:00

 「事業を継承するのは難しい。(私が)65歳になった時、後継者について真剣に考え、以前から付き合いのあった新浪さんをと考えた」。佐治信忠・サントリーホールディングス社長(68)は、10月1日付で社長に就任する新浪剛・ローソン会長(55)への事業承継について語る。

 「私自身が社内で後継者を育てられなかった一方、候補者はいても若すぎた。(新浪氏と)知り合わなければ、人が育つまで私が続投するか、ヘッドハンティングで対応するしかなかったろう。今回は幸運だった」とも佐治氏は話した。

 あまたある中小企業からサントリーのような同族の大企業まで、経営トップがみな迷うのが後継者への事業承継だ。都内で30人規模のサービス企業を経営するNさん(58)は、事業承継で悩み続けている。「創業して25年、超ワンマンで走り続けてきた。このためか、社員は“イエスマン”ばかり。60歳で引退して、好きなことをやろうと決めているが、今のままでは辞められない。私の責任でもある」と嘆く。

 鈴木修・スズキ会長兼社長(84)は、1978年に社長に就任。以来、一貫して経営トップを務めている。「死ぬまで(経営を)やる」は口癖。「(事業承継は)何とかなるよ、考えても仕方ない」とうそぶき、「(本当に困ったら)俺は“戻ってくる”」などと、けむに巻く。いまも世界の現場を走り回り、健康管理も怠りない。とはいえ、「修会長の存在はスズキの強さである一方、最大リスク。少なくとも、社長には誰かを指名する時期」との声は社内外から上がっている。

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