【知恵の経営】顧客・従業員満足度を両立 (1/2ページ)

2014.7.9 05:00

 □法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司

 山口市に「豆子郎(とうしろう)」という社名の菓子店がある。主製品は「豆子郎」という商品名の外郎(ういろう)などの和菓子だ。創業は1948年。現社長の義理の父である田原美介氏が奥さんと2人でスタートした会社だ。

 創業者の田原氏は、満州鉄道に勤務するエンジニアで、終戦を迎え、中国から帰国した引き揚げ者である。帰国後、子供のころから大好きだった外郎を販売していた老舗が廃業すると聞き、「では自分が」とチャレンジしたのだった。

 もともと菓子職人ではない田原氏にとって菓子づくり、とりわけ他店とは異なる「外郎」を開発することは容易ではなかった。創業からおよそ1年間は「ぬかパン」の小売りで家族の生計を立てつつ、この世にない新しい外郎の開発に没頭した。

 苦労に苦労を重ね、ついにこれまでとは全く異なる外郎の開発に成功している。田原氏はこの商品名をドシロウトが開発した豆入りの外郎ということで「豆子郎」と名付けた。そしてこれを機に社名も「豆子郎」とあらためた。

 それまでの外郎は、「手にべとべとして汚れてしまう…」とか「大きくて食べにくい…」といった評価が少なからずあったが「豆子郎」はこの全てを解決した「新しい外郎」といっても過言ではない。

 豆子郎は、これまで幾多の困難を乗り越え、現在では社員数110人の山口県を代表する銘菓の製造元の一つとして、ちまたの評価はすこぶる高い。

 豆子郎が今日まで、とりわけ86年以降、順調に成長発展してきた要因は多々あるが、とりわけ明記すべき要因は次の3点である。

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