社長の平均年齢【拡大】
高まるニーズ
ただ、後継難を背景に事業承継支援のニーズは着実に高まっている。貸出先不足に苦しむ地方銀行が事業を強化し、大手金融機関も後を追い始めている。
野村証券は、社員や税理士で構成する専門部署を4月に立ち上げ、支援ビジネスに本格参入した。M&Aや自社株譲渡、財務戦略、相続対策など幅広い分野で、全国の支店が開拓した中堅・中小企業とそのオーナーをバックアップしていく。同社は「新規株式公開(IPO)支援や富裕層向け資産運用ビジネスの顧客にもなる」と他事業への波及効果にも期待する。
人材派遣各社は後継者探しで支援を強化。パソナは、主に40~50代の経営管理経験者で起業志向のある人を後継者に推薦するサービスを3月に始めた。取締役などに採用されれば年収の35%を同社が受け取る仕組みで、3年間で計100件の事業承継を成功させたいという。
企業が互いの強みを生かし、協力するケースも増えている。M&Aキャピタルは近く大手証券と提携し、セミナー以外のルートでの顧客確保も目指す。
M&Aキャピタルの中村社長は「全国の250万社のうち4分の1は跡継ぎはいない」と指摘する。潜在需要は大きく、支援ビジネスをめぐる競争も激しくなりそうだ。(井田通人)