今後、和解が成立しなければ仲裁裁判所から法的拘束力のある裁定が下される。想定されるのは(1)スズキの主張通り自社株買い戻しを認める(2)両社に非があるとして、価格を上乗せするなどスズキにペナルティーを科した上で買い戻しを認める(3)VWのスズキ株保有継続を認める-の3案。
交渉経過が不透明なため結果を見通すのは難しいが、「双方とも言い分が決定力に欠ける。痛み分けになるのでは」(自動車大手幹部)との指摘もある。
一方、VWの言い分が認められた場合、スズキは敵対的買収の危機にさらされる。VWが13・1%以上の株式を買い増せば持ち株比率が3分の1超となり、重要議案を否決できる拒否権を握るからだ。
スズキは友好的な買収元「ホワイトナイト(白馬の騎士)」を探すなど防衛策を講じる必要が出てくるが、中西氏は有望なホワイトナイト候補としてトヨタ自動車とフィアットを挙げる。トヨタは昭和50年代にスズキが排ガス規制への対応に遅れた際、エンジンを供給して窮地を救った過去がある。フィアットはセルジオ・マルキオーネCEO(最高経営責任者)がスズキとの提携拡大に意欲的だ。
ただ、自動車大手の上位グループが世界販売1千万台超を目指す規模の競争に入る中、どこに助けを求めてものみ込まれずに独立を維持できるかは、予断を許さない。(田辺裕晶)