すし握り体験では、イクラ、エビ、サヨリの3貫を自分たちで握った【拡大】
日本を訪れる外国人観光客が増えている。観光客の目当ての一つは「日本食」。観光庁が行った4~6月期の訪日外国人の消費動向調査で、訪日前に期待していたことを複数回答で尋ねたところ「日本食を食べること」が77.1%と最も多かった。さらに、日本滞在中にしたことと次回したいことを尋ねると、こちらも「日本食を食べること」が92.9%でトップ。外国人観光客が日本食を旅行の目玉ととらえていることが分かった。
関心度の高い日本食はただ食べるだけではなく、食文化として体験することでより理解が深まり、親近感もわく。例えば、お好み焼きをひっくり返す、刺し身(生の魚)を食べる、茶を点(た)てるなどといった行動は、日本に暮らすものにとって当たり前でも訪日外国人観光客にとっては、思い出深い食文化体験となる。そうなれば自国に帰ったときにも、体験は拡散されることになるだろう。
去る今月5日に本格すしを提供する「旭鮨総本店 上野公園西郷会館B1店」(東京都台東区)で、新しい試みが行われた。ぐるなびと東洋大学(東京都文京区)が体験型サービスのおもてなし向上を目的に、同大学の留学生6人と日本人学生2人によるすし握り体験を実施した。当日は、高橋正樹料理長の指導の下、学生たちがすし3貫を自分で握った後、職人が握ったすしと食べ比べ、味の違いを体感した。
モンゴル出身の留学生に感想を聞いたところ、「見た目はすしらしく握れましたが、さわりすぎたのかお米が固くなって魚も温まってしまいました。職人は技が体にしみついているせいか手際が良く、お米がふわふわで魚も新鮮。今、モンゴルにも材料を日本から取り寄せるすし店ができているので、今度帰ったときに違いがないか確認してみたいですね」と一歩進んだ食の理解につながったようだ。