廃炉の検討対象になるのは小規模で古い原発だ。運転開始から40年以上たつ関電の美浜原発1号機(福井県)の出力は34万キロワット、同2号機は50万キロワット。合計しても出力が100万キロワットを超える大飯原発(福井県)の1基分にも満たない。
関電は「廃炉の検討に具体的には入っていない」(八木社長)とするが、廃炉もしくは延長に伴う費用と、その効果を慎重に見極めて対応を決める考えだ。
そのほか、稼働から38年が経過した九電の玄海原発1号機(佐賀県、出力55万キロワット)や、同じく40年たつ中国電力の島根原発1号機(島根県、出力46万キロワット)などでは、廃炉も含めた検討が進められている。
ただ、廃炉を決める場合は建物など原発の資産価値が減るため、損失処理する必要がある。原発停止に伴う火力発電向け燃料が増えている大手電力にとっては、財務悪化に拍車がかかる恐れがある。このため経産省は、廃炉による損失を少なくできるような支援策を検討中だ。