■被災地で契約農家拡大
トマトジュース市場でトップシェアを誇るカゴメが、東日本大震災の被災地で加工用トマトの契約農家を拡大している。カゴメの強みでもある契約栽培制度は安定的な収益が見込める。カゴメが注力する原料の国産比率向上や、被災地の農業復興につながると期待されている。
◆雇用創出に貢献
震災で津波に襲われ、農地も大きな被害を受けた宮城県東松島市の野蒜(のびる)地区。コメやハクサイ、ジャガイモなどを育てる農場の一角で、今夏初めて真っ赤なトマトが実った。農業法人「アグリードなるせ」(同市)が、カゴメと契約して試験栽培を始めたトマトだ。
同法人は2006年に設立。震災で70ヘクタールあった田畑の8割が津波で浸水したものの、いち早く除塩作業をして農作物の栽培を再開した。同法人の代表者、安部俊郎さんは「農業が復興しなければ野蒜地区は復興しない」と考え、被災を機に離農した人から田畑を借りて事業を拡大してきた。
今年初めて手がけたトマト栽培も、事業拡大の一環だ。5月、カゴメが加工用に品種改良したトマト「凛々子」の苗を約35アールに植え付け、今夏は約4トン収穫した。
トマト栽培を始めたことで、ジャガイモの収穫後から稲刈り前の8月中旬~9月中旬に収穫作業をすることになった。「これまでは年間3分の1は作業がないため、農繁期にパートを短期雇用して対応していた」(安部さん)が、今年から短期雇用していたパート7人を通年雇用に切り替えた。