日本のメーカーの特徴は、1つの蒸留所で多彩な原酒を造り出せる点だ。これにより1つのメーカーから、シングルモルトだけではなく、複数のブレンデッドを製品化させている。サントリーならば「山崎」「白州」のシングルモルトに加え、「響」や「角瓶」「オールド」など数多くのブレンデッドを製品展開している。
スコットランドには約100の蒸留所があるが、皆同じシングルモルトだけを造り続けている。マッカラン蒸留所ならば「マッカラン」だけを造る。ブレンデッドのメーカーは、いくつもの蒸留所からモルト原酒を調達し、グレーンと合わせて完成させている。調達先が重なるケースもある。
サントリーとニッカが多様なウイスキーを製品化できるのは、日本人による細かな管理と繊細なモノづくりができるからだ。ウイスキーは長期熟成が必要。例えば白州なら、南アルプスの自然が原酒を育んでいく。そこに人の手が入り、長期に管理していく。最終的にはブレンダーにより、キャラクターの異なる製品を造り上げる。自然、そして日本人の繊細なモノづくりは、ジャパニーズウイスキーに凝縮される。
自動車や電機製品のような工業製品とは一線を画す、人の五感やイマジネーションによる匠の技でもある。
「アニメやアイドルなど欧州での日本ブームも後押ししているが、酒も文化。大人のメディアとしてのジャパニーズウイスキー拡大は、世界の日本への理解を深めてくれる」(平野伸一アサヒビール専務)のは間違いない。(経済ジャーナリスト 永井隆)