一方で当時のベストセラーであるサントリー・オールドが約2300円、特級の角瓶が1800円、一級のホワイトが1000円で二級のレッドが500円だったと記憶している。ニッカも同様のランクアップだった。トリスはさらに安かった。
さて、スーパーマーケットや量販店の店頭で今、これらの価格をチェックしてみると、国産ウイスキーの価格が当時とあまり変わらない一方で、7年物スタンダードの正規輸入スコッチは1000円を、12年物では2000円を切るものもある。輸入ウイスキーの価格は諸物価が上昇している中、35年前に比べ何と5分の1にまで低下しているのである。
国産ウイスキーは高関税に守られている間に健全に育まれ、やがて競争力を持つ世界商品へと進化・発展を遂げた保護政策の成功例として受け止めればよいのであろうか。あるいはわれわれの通貨である「円」が英ポンドに対して日本人の購買力を大いに高めた結果なのであろうか。もしくは、われわれ酔っ払いは輸入ウイスキーに対して単に払いすぎていただけの話なのだろうか。ここは一つじっくりと飲んで考えた方がよさそうである。(作家 板谷敏彦)