第2次安倍晋三改造内閣の発足から1カ月余り。政権の経済政策「アベノミクス」を加速するために起用された女性閣僚2人が20日、相次いで辞任した。経済界からは政治の停滞を憂慮する声や、年末の消費税率再引き上げ判断への影響を危惧する声が聞かれた。
経団連の榊原定征会長は金沢市内での記者会見で、小渕優子前経済産業相と松島みどり前法相の辞任について、「女性活躍の象徴的な立場であり、期待していたので非常に残念だ」と強調。さらに、「日本経済の再生、地方再生に向けた重要課題が山積している」として、今後の国会審議や政策遂行に支障がでないよう、政権に求めた。
ある経済官庁幹部も「年末に向けて予算編成や税制改正、消費税率の引き上げ判断が控える上、法案審議がこれまでのように与党ペースとはいかなくなる可能性もある」と懸念する。
一方、自動車大手幹部は「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の問題をはじめ、国際的にもしっかり日本の立場を説明してもらわないといけないのに、国政が混乱すると大きなマイナスだ」と指摘。日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事は「地方の消費回復の遅れは課題だ」として、政治の停滞にクギを刺した。
石油鉱業連盟の黒田直樹会長は「日本のエネルギー政策は、原発問題を含め重要な岐路にある」とし、後任の経産相に対し、エネルギーや資源の安定確保を後押しするよう求めた。