≪インタビュー≫
□大坪正人社長
■中小はもっと目立たないといけない
--由紀精密に入社したころは苦労も多かったのでは
「展示会では誰も由紀精密の名前を知らなかった。そこで、コマを作るなどして技術力をアピールし、しっかりとしたウェブサイトも作ったところ徐々に反応が出てきた。その上で、興味を抱いてくれた会社からの具体的な案件を着実にこなしていった。一番苦労したのは、売り上げが思ったように上がらなかったことだが、機械が好きだったこともあって乗り越えられた」
--これからの中小企業はどうあるべきか
「中小企業は自分のやっていることをもっとアピールし、目立たないといけない。うちは新卒の採用に力を入れているが、魅力的だと若い人も集まってくる。また、より良い製品を作るため、大企業とも互いに尊敬し合う対等なパートナーであるべきだ。町工場がいじめられているような感じで語られるのは好きではない」
--海外にも積極的に進出している
「市場を日本に限らず、世界中で作られている物に使われる部品を作ればよいと思う。世界中にお客さんを求めることで、市場が1億2000万人から70億人以上へと一気に拡大する。もっとも、安い製造力を求めるための海外進出はしていない」
--モノづくりの醍醐味(だいごみ)は
「できたものの性能が高く、納品先や社会に評価されるとうれしい。何かを生み出すことの楽しさは、人間にとって本質的なものではないか」
--子供の理系離れが言われて久しいが
「理系と文系と分け、数学に挫折した人が逃げ道として文系に流れることは良くない。小学校では、理系が大事なことは分かっていてもうまく教えられず、若い人が興味を持てるような授業がないのは残念。数学で挫折した人も教え方次第で分かるようになる。もったいない」
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