今回報じられたドラッグストア2社だけではない。他にも多くの小売店と問題が生じる可能性がある。CVSとライトエイドの目的は明白で、彼らは店舗でアップル・ペイを使ってほしくない。なぜなら、CVSもライトエイドも、アップル・ペイの代わりに、多くの小売店と共同で開発支援する独自モバイル決済システムCurrentC(カレントC)を使ってほしいからだ。カレントCは、NFCではなく、日本で開発されたQRコードを利用する電子決済だ。
カレントCの決済アプリはマーチャント・カスタマー・エクスチェンジ(MCX)によって開発された。MCXは2012年に設立され、ウォルマートが主導する小売企業のコンソーシアムだ。事実上のCEOはウォルマートの副社長が務める。
◆目的はクレカ迂回
ウォルマートはカレントCを支援する小売企業を集めて、客がこのアプリを通じて決済することで自動的に割引クーポンや会員プログラムが適用される仕組みを推進する。目指すゴールの一つは、各小売りチェーンがばらばらに設けている既存の会員ポイントプログラムを統一プログラムに切り替えることだ。
もう一つのゴールは、クレジットカード決済手数料をゼロにすることである。クレジットカード決済企業を迂回(うかい)してしまおうというのだから、これは、クレジットカード決済企業にとって大きな脅威になる。ウォルマートほど大規模の小売店がこれを実現すればクレジットカード会社の利益は大きく左右される。
先月のアップル・ペイのコラムでは、私はこれこそがアップルの最終的な目的だと指摘した。しかし、ウォルマートなどの小売店は今すぐに決済企業迂回を実行しようとしている。将来の話ではないのだ。もちろん成功が約束されているわけではないが、十分な数の小売店が集まっているだけにやっかいなことになるのは間違いない。