製紙大手5社の平成26年9月中間連結決算が14日、出そろった。消費税増税後のチラシ需要の低迷を値上げなどで吸収し、売上高は全社が前年同期の水準を維持。古紙など原材料費の上昇にも、生産効率の改善で対応して日本製紙など3社が増益を確保したが、円安の進行で再値上げの可能性も出てきている。
日本製紙はチラシ向け洋紙の販売低迷や、中国で需要が拡大する古紙など原材料価格の上昇が利益を約100億円圧迫した。だが、昨年春と秋に実施した値上げや生産効率の改善の効果が上回り、最終利益は前年同期の2・3倍となる211億円を記録した。
大王製紙は三島工場(愛媛県)の設備更新で生産効率を上げたほか、「(中国など海外向けに)紙おむつの拡販が貢献」(阿達敏洋専務)して最終増益。北越紀州製紙も値上げなどで増益を確保した。
27年3月期の業績予想は、王子ホールディングス、日本製紙、北越紀州製紙の3社が下方修正。円安による原材料価格の上昇は深刻で、「もう一段の値上げをお願いせざるを得ない」(北越紀州製紙の松木和道常務)との声が上がっている。