「ロックは死んだ」といわれたのは1970年代の終わり。反体制の声を上げる若者の代弁者だったロック・ミュージシャンがビジネスと手を結んだ、と批判された。21世紀、最も成功したロックバンドの1つ「U2」は、最も成功した企業であるアップルと手を組みネットを通じて約5億人に新譜を無料で配布した。賛否渦巻くが「ロックを殺した体制」に揺さぶりをかけたことは間違いなさそうだ。
無料の音楽など信じない
U2の新譜「ソングス・オブ・イノセンス」収録の11曲が9月10日から10月13日まで、アップルの音楽配信サービス「iTunes(アイ・チューンズ)」で無料配信された。自動的にダウンロードされることから「押しつけ」「迷惑」といった批判が噴出したものの話題性は十分だった。
「過去最大規模のアルバムリリース。音楽業界の歴史を作る」とアピールしたのは、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)だ。無料配布はスマートフォン「iPhone(アイフォーン)6」の宣伝の一環であり、アップルはCMなどにU2の曲、プロモーションビデオを全面的に採用している。