組織の論理に埋没することなく、自分の直感を信じて行動する宮本光弘さん【拡大】
失敗談をうかがう。創立50周年企画として、米ウォルトディズニーとイベント招聘(しょうへい)契約をロサンゼルスで結ぶ前日、日本側弁護士に「この契約はまずい」と指摘され、調印会場まで用意されていたものをご破算にした。「このまま調印してしまえばと自問自答し、迷いに迷ったが、(当時、NOと言えない典型的な日本人でした)一緒に仕事をしていたパートナーに日本人の気骨を見せてやれと勇気づけられ、ディズニー副社長に契約できない旨申し入れた。そのとき得た教訓は、勝負は最後の1秒まで分からない、チェックはダブルでする、人の意見は真摯(しんし)に耳を傾ける、自分がブレない、この4点を学んだ」
現在、取り組むプロジェクトは6年前から考案してきた「リトルアスリートクラブ」。運動音痴は遺伝しない! 基本動作を楽しく身に付け、運動神経を良くすることを目指したプロトレーナー視点の新発想運動プログラムだ。
「すべての子供たちが、どんな運動もスポーツも元気に楽しめるようになる」。運動を楽しいと思える子を一人でも増やしたい。楽しみながら自分の進む道を考えてくれればいい。子供の夢と可能性を広げるのがリトルアスリートクラブの願いであり、使命だと熱く語る。己と他の境界線が溶解し、利己と利他は同期化し、混然一体となる。自分の夢が皆の夢に昇華する。その“匂い”が本プロジェクトに充満している。
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【プロフィル】柴田明彦
しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。亥年、乙女座、AB型。慶大法卒。83年電通入社、新聞局業務推進部長などを歴任し、2006年退社。一般社団法人「NS人財創造機構」を設立し、大学講義や講演会、研修を行う。14年に設立した「多様性工房」で、広報・宣伝や販売コンサルティングも手がける。著書は「ビジネスで活かす電通鬼十則」(朝日新書)ほか。