□アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
水着などの製造販売を手がけるフットマーク(東京都墨田区)の磯部成文会長と5年ぶりに面談した。同社を知ったきっかけは、東京商工会議所が10年前に始めた「勇気のある経営大賞」第1回受賞企業で、著書の「変える勇気が会社を強くする」(中経出版刊)に取り上げたことだ。
勇気ある経営大賞はクリエーティブな発想で独自の技術やビジネスモデル、商品企画を武器に経営環境変化に果敢に挑戦し財務基盤もしっかりしている企業に与えられる。
創業は終戦直後の1946年、磯部氏の父親がゴム布製品製造卸を始めたことに遡(さかのぼ)る。ゴム布を使った赤ちゃんのおむつカバーが中心だったが、蒸れやすく夏場には売れなかった上に、70年代に紙おむつが登場すると市場を奪われてしまった。「ほかに売れる商品はないか」と悩み抜いた末、縫製・耐水の技術を転用できる水泳帽がひらめき、開発に着手した。
当時水泳帽は一般的ではなかったが、70年頃、当時の文部省の方針でちょうど小中学校の体育に水泳が導入される時期だったため全国に売り込んだ。アイデアマンの磯部氏は水泳帽を色別に分け、生徒を泳力別や学年別に分けることを教師に提案し支持を集めていった。いまは国内の学童向け水泳帽で高いシェアをとっている。その後、スクール水着など水関係のさまざまな商品開発に着手した。
磯部氏は「東京オリンピックで日本の水泳が米国に惨敗した。米国にならって日本にスイミングスクールがどんどん増えたことが市場を広げた」と振り返る。高齢者や水泳を不得意とする人、介護を必要とする障害者向けの水着などの水泳用具を次から次へと企画し、製造販売している。最近では本格的な競泳用水着なども強化している。