【未年に翔ける】日本製紙社長・馬城文雄さん(61) (1/2ページ)

2015.1.10 05:00

 ■総合バイオマス企業へ構造転換加速

 --2015年の経営課題は

 「景気は緩やかながら回復基調にあり、円安で海外からの輸入圧力が弱まったことで国内の競争環境は好転している。円安による輸入原材料の上昇を(印刷用紙などで2月1日出荷分から)価格に転嫁し、浸透させていけるかが大きな課題だ」

 --海外市場での競争力は上がった

 「円安で輸出機会は広がっている。例えば、東南アジア向けの段ボール原紙の輸出は非常に増え、紙コップ用の原紙も韓国などに対して販売が拡大している。輸出拡大で国内工場の稼働率が上がり、生産費用を抑える効果が期待できる」

 --事業構造の転換を進めている

 「『総合バイオマス企業』を目指し、構造転換を加速している。例えば、エネルギー事業は徳島県小松島市の社有地でメガソーラーや、八代工場(熊本県八代市)の木質バイオマス発電が営業運転に入る予定だ。石巻工場(宮城県石巻市)でも、大型火力発電の建設を検討している。15年度からの中期経営計画では、売上高500億円を目指して設備投資を進める。ヘルスケア事業でも成人向けの軽失禁用製品などは介護市場を上回る成長を期待している」

 --海外事業の状況は

 「コピー用紙を主力とするオーストラリア子会社は、現地の通貨高が落ち着き東南アジア向けの輸出環境の厳しさが和らいだ。(環境に優しい原料)古紙パルプの製造設備も稼働態勢に入り、官公庁などへの販売を強化する。タイの合弁会社は食品や薬の包み紙などに使う片(かた)つや紙の生産を手掛け、現地のみならずインドネシアなど東南アジアへの輸出態勢も整った」

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