トヨタの新型燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」【拡大】
ただ、工場新設を凍結したトヨタの世界販売が伸び悩むなか、VWは18年の予定だった「1000万台超」目標を前倒しで達成。15年にもトヨタを逆転する可能性が出てきた。このため拡大する市場を確実に取り込もうと、好調な北米への輸出拠点となるメキシコや世界最大市場に成長した中国での新設案が浮上している。
一方、トヨタは急激な規模拡大の弊害でリーマン・ショック後に赤字転落した苦い経験がある。これまで部品メーカーなどグループを挙げたコスト削減で経営体質を強化してきたが、今年からは車台や基本部品を複数車種で共通化する新手法を導入し、開発力強化とコスト削減を進める。
豊田章男社長は、生産現場の改革が順調に進まなければ「(解禁を)もうちょっと延ばす」と述べるなど、安易な新設を戒めている。トヨタにとって、生産性向上と規模拡大の両立という難しい課題を解決できるかが、世界一を維持できるかどうかの分かれ目となる。