自前の回線・基地局網を持たない格安スマホの事業者は、携帯大手のネットワークを借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)としてサービスを展開している。KDDIはこうした事業者に狙いを定め、KVEを通じてネットワーク利用を促す-。それが“真の狙い”というわけだ。
国の意に沿う動き
一方、業界関係者は、KDDIがパートナー支援事業に乗り出す背景について「通信行政を担う総務省の方針に沿った動きだ」と解説する。
通信市場の活性化を目指す総務省は、格安スマホの契約シェアを全体の20%と、13年度末時点の3倍強に引き上げようとしている。スマホで契約会社以外の通信サービスを使えないように制限するSIMロックの解除を15年度から義務付けるのも、その一環だ。
同省はまた、携帯大手に電波の周波数帯を割り当てる際の基準の一つとして、MVNOへのネットワーク貸し出し体制を評価している。現時点で大手3社への評価は同列だが、KDDIは「今後の割り当てで有利な立場を得るためにも積極的にネットワークを利用してもらう体制を整えた」というわけだ。