出光興産は3日、2015年3月期の連結最終損益見通しを300億円の黒字から、980億円の赤字に大幅に下方修正した。昨秋以降の原油相場の下落の影響で、1370億円の在庫評価損を計上するため。赤字転落は2005年3月期以来、10年ぶりで、06年の上場後では初めて。赤字幅も過去最大となる。
石油元売りは不測の事態に備えた備蓄義務があり、原油などの在庫を抱える。出光は在庫評価損が従来の見込みから1170億円増えた。北海の石油探鉱・開発事業も原油安で生産設備などの資産価値が下がり、105億円の損失を計上した。売上高予想も5兆円から4兆5400億円に下方修正した。
都内で記者会見した鷺島敏明執行役員は「原油価格の下落は当面の底を打った。これより下がらなければ追加の損失は発生しない」と語るとともに、今後の油田開発について「ブレーキがかかりやすくなる」とした。
出光興産が同時に発表した14年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比2.2%減の3兆5783億円、最終損益は566億円の赤字(前年同期は427億円の黒字)となった。資源価格が低迷した影響などから、豪州の石炭事業や英国・ノルウェーの石油開発事業で267億円の減損損失を計上した。