【論風】経済産業省消費者政策研究官・谷みどり ネット通販の健全な発展へ (2/3ページ)

2015.2.12 05:00

 広島市立広島商業高校では、「広島市商ドットコム」というネットショップを情報企画コースの生徒が運営する実習を採り入れた授業がある。企業との打ち合わせ、商品の選定、商品撮影、商品紹介、サイト構築、商品の受発注、代金決済まで、すべて生徒が行う。地元の企業と協力して開発した商品もある。利益の一部は、広島市、長崎市の平和事業、広島市、宮城県の復興支援事業に寄付する。

 ネットショップを開く生徒たちは、関係する法律を含め、広告・品質表示・製品安全などを学習する。将来、消費者トラブルを起こさない事業者になることを目指すのだ。昨年のある日の授業をご紹介しよう。

 たとえば「飲むだけでやせる」など合理的根拠のない広告を出すと、特定商取引法や景品表示法に基づく行政処分の対象になる。本当は違うのに「カシミヤ100%」という表示をして、家庭用品品質表示法で指示を受けた例もある。製品安全も、流通事業者の大事な課題だ。消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法などに定められた一定の製品は、マークがついているものしか販売してはいけない。たとえば、家庭用のライターなら、技術上の基準に適合した「PSCマーク」がついた製品しか売ってはいけない。ライターのこのマークは、子供には火をつけにくくする技術基準を守っている印だからだ。

 ◆産業を支える人材育てる

 実は、この授業をしたのは筆者である。「生徒自らがコーポレートガバナンスを考え、地域社会との連携のもと正しい職業観・勤労観を身につけるための実践活動に活かす」という学校の方針の下、一昨年から、授業の機会をいただいている。校長先生をはじめとする先生方の、社会に貢献する人材を育てようという姿勢に感銘を受ける。

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