ある日系大手メーカーの社員は「海外工場へ転勤になって最初に困ったことは、業務で使っている言葉の意味が分からないことだった。これでは仕事にならないと思い、慌ててAPICSで業務の用語を学んだ」という。また、外資系IT企業の日本法人代表は「米国のIT企業に勤めていたとき、顧客と会話をする際に、APICSの資格取得を通じて学んだ業務知識が役に立った」と話している。これらは、個人のスキルアップに世界標準であるAPICSが役立った例である。
一方、企業活動の一環として日々の業務や業務改善、そして人材育成に世界標準の業務知識を取り入れているところもある。グローバルに展開している某企業の本社は「世界中の各拠点に、少なくとも1人はAPICSの資格保有者を置くこと」という指示を出し、APICSの試験対策講座に社員を通わせている。
また、外国企業に買収された日本国内の工場では、海外から着任したトップが「どんな教育をしているのか」と質問し、幹部が「OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング、日常業務を通じた教育)です」としか答えられなかった。その後、トップは「本国でやっているAPICSの教育を導入せよ」と指示を出し、APICSのインハウストレーニングを社員教育に取り入れた。
グローバルにビジネスを展開している企業では、世界各地で話が通じる世界標準の必要性を肌で感じて使っている。日本企業は総じて、世界標準の業務知識の導入で後れを取っただけである。
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【プロフィル】三枝利彰
さえぐさ・としあき 東工大院(経営工学)修了。大手鉄鋼メーカーを経て1999年日本ビジネスクリエイト入社。2012年から現職。サプライチェーン・マネジメント(SCM)や生産管理のプロセス改善に強みを持つ。NPOバリューチェーンプロセス協議会理事。47歳。千葉県出身。