主力小型車「フィット」で相次いだ品質問題やタカタ製エアバッグの大量リコール(回収・無償修理)など難局続きのホンダのかじ取りを任された。創業者の本田宗一郎氏から数えて8代目の社長だ。
「びっくりしたが、『今まで経験したことを生かしてほしい』といわれ、受けることにした」
伊東孝紳社長に次期社長を打診されたのは年明け。平成25年から生産統括責任者を務める中国の広州で電話を受けた。副社長や専務からの起用が一般的な同社で常務からの昇格は初めてだ。
出身は車体設計。平成13年発売の2代目「CR-V」では開発責任者を務め、米国を中心に世界で人気モデルとなる礎を築いた。その後、購買部門や欧州法人の副社長などを歴任。「幅広い経験が私の強み」との自負がある。
今年はホンダにとって正念場の年だ。
品質問題からの信頼回復に加え、開発中のビジネスジェット機「ホンダジェット」が年前半に納入を開始。自動車レースの最高峰、F1にも7年ぶりに復帰する。ジェット機もF1も宗一郎氏の思い入れの深かった事業だ。
「私の役割はチャレンジングな商品や技術を生み出し、グローバルなオペレーションを進化させること。全力でチャレンジしていく」
23日、東京・青山の本社で開いた記者会見では、宗一郎氏以来のホンダのDNAであるチャレンジ(挑戦)という言葉をたびたび口にした。「大企業病」との指摘も出る中、自身もホンダも改めてその真価が問われる。(田村龍彦)