9日開かれた電機連合の第3回中央闘争委員会。厳しい交渉状況が報告された=東京都港区【拡大】
平成27年春闘で電機産業の労使交渉が本格化してきた。だが、賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)については、前年を超える水準を求める電機連合と、固定費増を抑えたい経営側との溝が深いまま。「経済の好循環」実現に向けて、最終的には前年を上回る水準のベアで決着するとの見方が支配的だが、経営側の警戒感は根強く、18日の一斉回答までに曲折も予想される。
「交渉は膠(こう)着(ちゃく)状態にある」
9日開かれた電機連合の第3回中央闘争委員会で、有野正治委員長はこう指摘した。
電機は、各社ごとの交渉だけでなく、電機連合幹部と大手メーカーの労務担当役員が相対する「産別労使交渉」が特徴。しかし、この交渉で経営側は「昨年に続いて賃金水準改善を積み重ねていくことは考えにくい」と、ベア実施そのものに慎重姿勢を崩していないという。
背景には、大手各社が6年ぶりに実施した前年のベアを起点に、その後も毎年のように「前年超え」を求められる流れが定着すれば、固定費増に歯止めがきかなくなるとの経営側の懸念がある。各社ごとの交渉でも、経営側からは「昨年の賃金改善は、身の丈を超えた重い決断だった」と、ベア実施の難しさを強調し、組合側を牽(けん)制(せい)する声が出ている。