【高論卓説】高水準の相場、求められる注意深さ 加藤隆一 (1/2ページ)

2015.3.10 05:00

 証券マンは強気でなければ務まらない。日経平均株価は2月に1万8000円を超え、15年ぶりの高値を更新した。某証券会社のアナリストは直後に、「4月2万円、9月2万2500円、来年2万8000円も」と題するレポートを発信した。「日経平均5万円説」を唱える御仁も現れた。「証券業務においては、将来について常にバラ色の展望をもつことが求められる(『ガルブレイスの大恐慌』徳間文庫)」というが、バブル期の上昇相場への郷愁が募っている。

 株式市場で強気の声が高まってきたのにほくそ笑んでいるのは外国人投資家ではあるまいか。外国人投資家の日本株保有比率は2014年3月末現在で30.8%。金融機関(都・地銀、信託銀行、生・損保、その他)の26.7%を上回って、投資部門別の株式保有比率トップである。外国人投資家の日本株保有比率は1995年に10%を超え、03年に20%を超えた。外国人投資家はバブル崩壊後の“失われた20年”に、日本株の保有を着々と増やした。

 日経平均の過去20年の長期移動平均は1万3661円(みずほ証券算出)。外国人投資家がこの間に増やした日本株約20%分の平均買いコストとみなすことができる。直近の日経平均は1万9000円前後。平均買いコストを5000円上回る。外国人投資家が保有する日本株は既に相当の利が乗っている。日経平均がさらに上がれば、外国人投資家が保有する日本株の評価益は膨らむ。売却益が増える。市場で強気の声が高まるのに、ほくそ笑みも浮かぼう。

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