ジャパンブルーエナジーが2013年6月に建設した試験プラント=群馬県渋川市【拡大】
木くずや汚泥から水素が作れること自体は以前から知られていた。しかし生物資源は高温で熱すると副産物として液状のタールが発生する。液状タールはプラント内部にとどまって目詰まりの原因となり、故障を誘発するため、徹底的に分解しなければならない。
そこで同社は、装置内にヒートキャリアと呼ぶセラミックス製の小さな球をいくつも入れ、循環させる手法を採用。球が移動することで、装置内の「熱ムラ」を抑え、タールを分解できるようにした。
ブルータワーの基本技術はドイツで生まれた。堂脇社長は、地域活性化のコンサルティングを行う中でこの技術と出合い、資金をかき集めて特許を購入。その後は独自に研究を重ね、一昨年にはより高温でガス化できる3つ目の試験プラントを群馬県渋川市に建設。現在は、日米欧を含む主要国の大半で特許を保有するという。
水素を使うには、貯蔵や輸送のインフラを一から整備しなければならない。その費用は、FCV用水素ステーションだけでも1カ所当たり5億円かかるとされる。このため当面は大都市での供給にとどまる見通しで、地方まで行き届くにはかなりの時間がかかるとみられている。