ジャパンブルーエナジーが2013年6月に建設した試験プラント=群馬県渋川市【拡大】
もっとも、JBECの技術は森林資源が豊富な地方でも威力を発揮する。同社は来年春までに、石川県輪島市と前橋市で商用プラントを稼働させる計画。ほかにも岩手県宮古市など2、3カ所で建設を検討している。堂脇社長は「地震でライフラインが途絶えた際の非常電源にもなる。地産地消のような環境を築きたい」と、地方における製造・供給態勢の早期構築に意欲をみせる。
商用プラントは発電規模3000キロワット時を想定。水素社会の本格到来には時間がかかるとみて、まずは電力を販売し、収益基盤を確立することに全力を注ぐ。改質ガスの3%を水素としてサンプル用に製造するが、それだけでも燃料電池車200台分を賄えるという。
試験プラントに比べて規模が大きく、予期せぬ初期トラブルをどう抑えるかが課題だが、原料確保や約20億円という建設資金の手当ても含め、基本的にはクリアできている。堂島社長は「将来的には水素に軸足を移しバイオ水素の供給業者になりたい」と夢見る。
昨年12月にはトヨタ自動車が世界初の一般向けFCV「ミライ」を発売し、納車まで3年待ちの人気となっている。一方、2020年開催の東京五輪では、新技術の「ショーケース」としてFCVや家庭用燃料電池の活用が想定される。堂脇社長は「水素の可能性を訴えるトヨタの姿勢は大歓迎。五輪も世間にアピールする絶好の場になる」と語り、水素社会の構築に対するムードの盛り上がりに期待する。(井田通人)