フランスで墜落したのと同型のジャーマンウイングスのエアバスA320=2014年3月、ドイツ・首都ベルリン(ロイター)【拡大】
今月24日に発生したジャーマンウイングスの墜落事故など格安航空会社(LCC)で重大事故が相次ぎ、安い運賃を武器に世界で急速に台頭してきたLCC全体の信頼性やブランドイメージが傷つきかねない状況となっている。パイロットが世界的に不足する中、技量の高い人材を安定的に確保する取り組みも必要となる。
アジア太平洋航空センター(CAPA、豪州)によると、2013年のLCCのシェアは西欧が38%、中南米が34%、北米が30%に達したほか、01年にわずか3%だった東南アジアでは58%に拡大、今や空の主役といえる存在だ。LCCによる価格破壊に新興国の成長が重なり、旅客需要を巧みに取り込んだためだ。
だが、肝心の安全面では懸念が生じている。昨年12月にはインドネシア沖でマレーシアのLCC、エアアジアの旅客機が墜落。それに続く今回の惨事の衝撃は大きい。早稲田大学大学院の戸崎肇教授は「これまでLCCは自助努力で『安かろう、悪かろう』との批判をかわしてきたが、シェアが拡大する中、ここを乗り切れるかが今後の本格的成長を占う」と指摘する。