「豊作貧乏」宅配業者の悩み 通販ビジネス拡大、取り扱い個数は増えたけれど… (3/4ページ)

2015.4.5 07:02

日本郵便の車両

日本郵便の車両【拡大】

 経済産業省の調査によれば、いわゆるネット通販市場は2013年度で前年比17・4%増の11兆2000億円にまで膨らんだが、ユーザーがネット購入した商品を全国津々浦々に届けてくれる宅配便がなければ、通販ビジネスも成り立たないだろう。

 1個あたり単価は右肩下がり

 取り扱い総個数は順調に伸びて行ったが、宅配各社には共通の悩みがあった。1個あたり単価の低迷だ。宅配便は個人ユーザーに対しては定額料金だが、大量の貨物を扱う企業相手では料金は荷主との交渉になる。競争激化のなかで取引量を増やしたい宅配業者は「他社はいくらで? それならうちはこれだけ下げます」と料金の値引き合戦を展開。ネット通販など大荷主が求める当日配達地域の拡大や送料無料化などに対応するうち、扱い高は増えているのに実入りが少ない「豊作貧乏」に突入していった。

 佐川急便は2010年3月期の11億2495万個から13年月期には13億5650万個と取り扱い個数を増やしたが、1個あたりの単価は同483円から同460円に低下。ヤマト運輸の単価も過去10年連続で低下し続け、14年3月期は前年より17円低い574円と過去最低水準に落ちた。

 扱う荷物が増えればそれに応じた人手やコストが要るのに、収益が伴わなければ十分に手をかけられない。仕事が雑になり、サービスの質も低下しかねない。佐川は13年に、ヤマトも14年に法人向け運賃の適正化交渉、つまり値上げへと舵を切った。業界でのプレイヤーが減るなかで、荷主に対する両社の発言力は以前より増していた。

その結果、佐川の14年3月期の扱い個数は12億1878万個と…

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