これまでは下水や工場排水の処理設備に活用されてきた。排水中の不要な有機物を分解する微生物を槽にためる方法に代わり、微生物のすむクラゲールをためた槽を採用することで効率的に処理。生物分解用の槽を約5分の1まで縮小し、多くの下水処理施設や工場などで導入された。
その機能を生ごみに応用したのが、クラレとシンクピアが共同開発した生ゴミ処理機だ。排水処理と異なり水分の少ない環境で使うため、微生物を生かす水の分量や、かき混ぜる速度などを調整。分解速度を上げるため、生ごみの表面を傷つけて微生物の浸透を助ける樹脂「ポリプロピレン」もクラゲールに混ぜるなど工夫を重ね、2011年12月に業務用として販売を始めた。
セブン-イレブン設置へ
従来は1日の処理量が30~500キロという比較的大型機種で、給食センターや社食など大規模な食堂で採用され普及。これに加えて、今年2月から縦50センチ×横65センチ×高さ82センチという家庭用洗濯機とほぼ同サイズの新型機の販売を始めたことで、セブン-イレブンへの設置が決まった。セブン&アイは「売上高に占める割合が高い食品のリサイクル率を向上したい」(広報センター)としている。
セブン-イレブンは、全国1万7500店超で排出される生ごみを各店舗で処理。その際に排出される分解液を発酵させて液体肥料にし、自社が運営する農場で使う循環型農業の姿を描く。クラレもコンビニに加え、ファストフード店や保育園など敷地が限られた施設への導入を進めたい考えだ。
ただ生ごみ処理機は、貝殻や魚の骨など固いものを処理することが難しいなど分別の手間がかかるほか、「生ごみ処理機や発酵装置など初期投資を考えると費用が下げられるかどうかが課題」(クラレアクア事業推進本部の白木国広部長)という。(会田聡)