ブルーレイディスクの基本構造や製法を考案したソニーの柏木俊行氏【拡大】
■日本発、世界標準規格に寄与
DVDの5倍以上の容量で、デジタルハイビジョン放送の映像を録画できるブルーレイディスク。その基本構造と製法を開発した業績が評価された。ソニーに入社して33年、この分野の研究一筋に歩み、「ミスター光ディスク」と呼ばれる存在だ。
短い波長のレーザーを使って大容量を実現する次世代の光ディスク特許出願は何と、DVDが商品化される前年の1995年。製品開発をめぐるメーカーの競争の激しさが分かる。「当初は、個人としての直感で研究を始めた」と振り返る。
ディスクの中の情報を読み取るためにレーザーが透過する「カバー層」の厚さを0.1ミリに設定し、正確に情報を読み取れるようにした。ディスクを回転させながら樹脂を塗布して紫外線で固めるという量産手法も考案。「高温、高圧での転写など、ありとあらゆるやり方を試行錯誤した」と言う。
その後、ブルーレイは、HD-DVDと次世代ディスクの規格争いで激突。ソニーは松下電器産業(現パナソニック)などとともにブルーレイの普及を進めたが、その陣営でも中心人物として活躍した。欧米への海外出張を繰り返し、関係各社にブルーレイの利点を説明して回った。特に重視したのは米ハリウッド。映画会社がどの媒体を使うかの影響は大きいからだ。この戦略が奏功し、2008年1月にワーナー・ブラザーズがブルーレイへの一本化を決め、大勢が決した。ブルーレイは日本発の世界標準規格となった。
そしてこの頃、ふと訪れた家電量販店で、店員が来店客に「このブルーレイの画質は素晴らしいんですよ」と説明していたのを聞き、唐突に、万感の思いがあふれたという。
「産業・社会に貢献したと評価していただき、うれしい」と話す一方、現在も超大容量の光ディスク開発に携わる。次世代を目指す研究に終わりはない。(高橋寛次)