フジテレビ系「なるほど!ザ・ワールド」から。愛川欽也さん(左)と楠田枝里子さんの名コンビで人気を博した【拡大】
今月15日、肺がんのため、80歳で亡くなった俳優でタレントの愛川欽也さん。映画やドラマ、テレビ・ラジオの番組司会で活躍し、「キンキン」の愛称で親しまれてきただけに多くの人がその死を悼んだ。
元フジテレビ「なるほど!ザ・ワールド」プロデューサー・王東順さん
欽也さんがフジテレビの「リブ・ヤング!」(昭和47~50年)という番組で司会を務めていた頃、私は20代の駆け出しディレクターでした。いつか一緒に面白い番組を作りたいという思いがかなったのが、それから10年近くたった「なるほど!ザ・ワールド」(56年~平成8年)でした。
欽也さんはいつも、「視聴者目線」の大切さをおっしゃっていました。番組開始当初、欽也さんに放送前の映像を試写で見てもらうと、よく「視聴者が1回見て、分かるかな?」と言われたんです。番組での説明や構成が分かりづらい、という指摘でした。それを聞いて、スタッフは半分、ブーブー言いながら番組を作り直していきました。
ただ、途中からはそういうことも減って、欽也さんも番組を面白がってくれるようになりました。作り手は、ともすると独りよがりになってしまう。欽也さんには、物事を引いて見つめ、かみ砕いて視聴者に伝えることの大切さを教えてもらいましたね。